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失敗しない動画ファイルフォーマットの選び方:拡張子・コーデック解説

動画の世界は奥深いもの。普段何気なく見ている動画も、その裏には様々な「フォーマット」と「コーデック」が働いています。

あなたも一度は、動画をアップロードしたり編集したりする際に「このフォーマットで大丈夫かな?」と迷った経験があるのではないでしょうか。実は、これらの選択は動画の品質や再生環境に大きく影響するのです。

この記事では、動画ファイルの「拡張子」から「コーデック」の選び方まで、分かりやすく解説します。プロの編集者も実際に参考にする情報を詰め込んでいますので、あなたの動画活用の一助となること間違いなしです!正しい知識で、もっとクオリティの高い動画を世に送り出しましょう。

動画ファイルの基本

動画ファイルの基本

動画を扱う上での基本的な知識がなければ、効率的な動画編集や公開が難しくなります。まずは動画ファイルの基礎から理解を深めていきましょう。

動画ファイルの形式・フォーマットとは?

動画ファイル形式(フォーマット)とは動画データの保存や伝送の際のルールや構造を定義するものです。動画は音声、映像、メタデータなどの異なるデータが組み合わさっています。

各種データがどのように格納・圧縮されるかを決めるのがファイル形式です。MP4、AVI、MOVなどの拡張子が動画ファイル形式を示します。
動画ファイル形式は、動画のデータ構造や保存の方法を規定する重要な要素です。

フォーマットは、動画や音声のエンコード方法(コーデック)、ファイルのコンテナ(コンテナフォーマット)、およびメタデータの標準などを含みます。

動画の構成要素と仕組み

動画は映像、音声、メタデータなどの要素から成り立っており、これらが複合して再生時に動画として表現されます。

映像は連続する画像の集まりであり、音声はその映像に合わせて再生される音のデータです。メタデータには、動画の長さや作成日、使用されたコーデック情報などが含まれます。

例えば YouTubeで視聴する動画では、映像と音声が同時に流れ、その動画の詳細情報がメタデータとして背後で管理されています。

動画は複数の要素が組み合わさって成り立ち、それぞれの要素が再生時の質や特性を決定します。

コンテナ・コーデック・エンコードの違い

コンテナは映像や音声データを一まとめにするファイル形式、コーデックはデータを圧縮・伸張する技術、エンコードはデータをあるフォーマットや規格に変換する処理を指します。

コンテナは、動画や音声などの複数のデータストリームをひとまとめにする役割があります。
コーデックは、データを効率的に圧縮・伸張して品質とファイルサイズのバランスをとります。
エンコードは、特定のコーデックや設定を用いてデータを変換する作業のことです。

 MP4という形式で保存された動画は、コンテナがMP4で、中にはH.264というコーデックで圧縮された映像データやAACで圧縮された音声データが含まれています。これを作成する過程がエンコードです。

動画を理解するためには、コンテナ、コーデック、エンコードの役割と機能を把握することが欠かせません。

 動画は複数の要素や技術が組み合わさって成り立っており、それぞれの概念を理解することで、動画編集や配信をより効果的に行うことができます。

代表的な動画ファイル形式・拡張子の解説

動画ファイル形式の解説

動画制作や編集を行う際、ファイル形式の選び方は重要です。その理由や違い、実際の使用シーンを詳しく解説します。

MP4(.mp4)

MP4は最も汎用性が高く、品質と圧縮率のバランスが良い動画ファイル形式です。

ISOが定める国際標準であるため、広くサポートされており、H.264やAACなどの先進的なコーデックとの互換性があります。

YouTubeやVimeoなどの動画共有サイトでの標準形式として使用されています。
スマートフォンやPCでの動画再生にも適しています。

動画配信や共有、再生を目的とした場合、MP4は最初に考慮すべき形式です。

AVI(.avi)

AVIは古くからある動画ファイル形式で、多くのデバイスやプログラムで再生可能です。

Microsoftが開発したWindowsの標準動画ファイル形式ですが、圧縮技術が進んでいないため、ファイルサイズが大きくなりやすいというデメリットがあります。

古いPCやデバイスでの動画再生に向いており、ロスレスでの動画保存に適しています。

「ロスレス」とは、主にデジタルデータ圧縮に関連して使われます。ロスレス圧縮では、元のデータを完全に復元することができるため、データの品質が失われることがありません。これは音楽ファイルや動画ファイルなどのデジタルメディアで特に重要です。

古いPCやデバイスでの動画再生においてロスレス圧縮は有効です。なぜなら、ファイルサイズを減らすことができる一方で、元の品質を保持できるため、これらのデバイスの処理能力やストレージの制限に対応できるからです。また、ロスレス圧縮された動画は保存にも適しており、再圧縮時の品質劣化を防ぐことができます。

品質を維持したい場面や古いデバイスでの再生を考えている場合に選択すると良いでしょう。

MOV(.mov)

MOVはAppleが開発した高品質な動画ファイル形式で、QuickTimeプレーヤーと連動しています。

QuickTime

引用元:https://support.apple.com/ja_JP/downloads/quicktime

Apple製品やソフトウェアとの互換性が高く、ロスレス圧縮が可能で、高品質な動画を保存できるという特徴があります。

また、MacやiPhoneでの動画編集や再生に適しています。
プロの映像制作や編集でもよく使用され、Appleの環境での動画制作や編集を考えている場合、MOVは最適な選択です。

WMV(.wmv)

WMVはMicrosoftが開発した動画ファイル形式で、Windows環境での互換性が高いです。

Windows Media Playerとの連携が強く、高圧縮率であるため、ファイルサイズを小さく保持できるという特徴があります。

Windows Media Player

引用元:https://support.microsoft.com/

WindowsのPCでの動画再生やストリーミングに向いています。また、メール添付やWeb上での軽量な動画配信に適しています。

Windows環境での動画使用や配信を考えている場合、WMVは有力な選択肢です。

FLV(.flv)

FLVはWebブラウザでのストリーミング再生を目的とした動画ファイル形式です。

Adobe Flash Playerとの互換性が高いことが特徴で、過去にはWeb上での動画再生の標準として広く利用されていました。現在はFlashのサポート終了に伴い、利用が減少しています。

Adobe Flash Player

引用元:https://play.google.com/

過去のWeb環境で広く利用されていましたが、現代の環境では推奨されるファイル形式ではありません。

各動画ファイル形式には特徴と適した使用シーンがあります。用途や環境に応じて最適な形式を選択することが重要です。

映像コーデックの解説

動画ファイルの品質やサイズを決定づけるコーデック。しかし、具体的にはどんなものなのでしょうか?今回は、代表的な映像コーデックの特徴や適用シーンについて、専門家の視点から解説します。

H.264

H.264は広く使用されている映像圧縮コーデックです。

H.264は高い圧縮効率を持ちつつ、高品質な映像を保持する能力があるため、様々なデバイスやサービスで採用されています。
オンラインの動画配信サービスの大部分がH.264が採用されています。

YouTubeやVimeoなどの大手動画配信サイトは、H.264を主要なコーデックとして採用しています。H.264は高品質かつ高圧縮の映像を提供し、多くのサービスで採用されています。

H.265

H.265はH.264の後継として開発され、更なる圧縮効率の向上を実現しています。H.265はH.264と比較して約50%のデータ量削減が可能でありながら、同等またはそれ以上の映像品質を維持します。

4Kや8Kといった高解像度の映像配信に向いています。

次世代の4Kテレビの映像ストリーミングやブルーレイの一部でもH.265が使用されています。H.265は高解像度映像の配信に適しており、次世代の動画コーデックとしての地位を確立しています。

VP9

VP9はオープンソースの映像コーデックで、特にWeb環境での動画配信に適しています。

VP9はGoogleが開発したもので、特にWebMコンテナでの使用が推奨されています。あH.264やH.265と同等の品質でありながら、ライセンス料が不要であるため、コストを抑えたい場合に適しています。

YouTubeは一部の動画でVP9を使用しており、高品質な映像を低データ量で提供しています。VP9は高品質かつコスト効果的な映像配信に適したコーデックとして、特にWeb環境での採用が進んでいます。

その他のコーデック

様々な用途やニーズに応じて、多くのコーデックが存在しています。適切なコーデックを選択することで、品質や効率の向上を実現できます。

映像コーデックは動画の品質やサイズを決定します。H.264、H.265、VP9など、目的や環境に合わせた適切なコーデックを選択することが重要です。

活用シーン別のおすすめファイル形式

活用シーン別のおすすめファイル形式

動画を使用するシーンやプラットフォームによって、最適なファイル形式は異なります。それぞれのシーンにおけるおすすめのファイル形式とその理由を、プロの目線からご紹介いたします。

YouTubeに動画をアップロードする場合

MP4形式(H.264コーデック)が最適です。YouTube公式の推奨仕様として、MP4形式の動画ファイルが挙げられています。

H.264コーデックは高い互換性と効率的な圧縮率を持つため、ストリーミングに適しています。多くのYouTuberや企業が、動画をアップロードする際にMP4形式を利用しています。

自社サイトで動画を配信する場合

WebM形式(VP9コーデック)やMP4形式(H.264コーデック)がおすすめです。

WebMはオープンソースでライセンスフリーなので、コストを抑えたい場合に適しています。MP4は広範なデバイスでの互換性が高いため、多様なユーザーにアクセスしてもらう自社サイトに向いています。

多くの企業公式サイトやニュースサイトが、WebMやMP4形式で動画コンテンツを配信しています。自社サイトの利用状況や目的に応じて、WebMまたはMP4形式を選択するとよいでしょう。

SNSで動画を投稿する場合

MP4形式(H.264コーデック)が一般的に推奨されます。

多くのSNSプラットフォームがMP4形式の動画ファイルをサポートしています。
H.264コーデックは、高い圧縮効率と品質を持ち、短い動画コンテンツの配信に適しています。InstagramやTwitter、Facebookなど、主要なSNSプラットフォームでもMP4形式が使用されています。

SNSでの動画投稿には、MP4形式が適しています。

自分で動画編集を行いたい場合

MOV形式やAVI形式がおすすめです。

MOVとAVIは、非圧縮またはロスレス圧縮が可能で、編集時の品質維持に適しています。多くの動画編集ソフトウェアがこれらの形式をサポートしています。

Adobe Premiere ProやFinal Cut Proなど、業界標準の動画編集ソフトウェアがMOVやAVI形式をサポートしています。

編集作業をスムーズに進めるため、自分で動画編集を行いたい場合はMOVやAVI形式を選びましょう。

動画ファイルの選び方

動画を取り扱う場面が増えてきた今、最適な動画ファイル形式の選び方を知ることは非常に重要です。選び方によっては再生の品質や速度、編集の容易さなどに影響が出ます。

そこで、用途やプラットフォームに合わせた選択方法を、プロの視点から詳しく解説いたします。

用途に応じて選ぶ方法

用途に応じて最適な動画ファイル形式を選ぶことが必要です。用途に応じた形式を選ぶことで、再生速度、画質の維持、編集の容易さが確保できます。

例えば、ウェブ配信を主な目的とする場合、MP4やMOVが適しています。一方、DVD制作の場合はVOBやMPEG2が適しています。

各動画ファイル形式には得意なシーンがあり、その用途に適した形式を選ぶことが最適な結果をもたらします。

プラットフォームや再生環境に対応したものを選ぶ

再生するプラットフォームや環境に合わせてファイル形式を選ぶ必要があります。なぜなら、プラットフォームや環境ごとに最適なファイル形式やコーデックが異なるためです。

例えば、AndroidスマートフォンではMP4が広くサポートされているのに対し、Apple製品ではMOVがネイティブに対応しています。

目的のプラットフォームや再生環境に合ったファイル形式を選ぶことで、スムーズな再生や画質の維持が期待できます。

フォーマットとコーデックの適切な組み合わせ

動画の品質や圧縮率を最適化するには、フォーマットとコーデックの適切な組み合わせが必要です。フォーマットとコーデックの組み合わせにより、ファイルサイズや画質、再生速度に大きな違いが生じるためです。

例えば、H.264コーデックとMP4フォーマットの組み合わせは、高い圧縮率と品質を両立させるため、ウェブ配信におすすめです。

動画の用途や再生環境に合わせて、最適なフォーマットとコーデックの組み合わせを選ぶことが品質の向上や効率的なストリーミングにつながります。

動画の品質や再生環境を最適化するには、用途やプラットフォームに合わせてファイル形式やコーデックを適切に選択することが鍵となります。

動画ファイルフォーマットの注意点とよくある質問

動画の取り扱いには、細かな技術的な側面が隠れています。動画ファイルの変換や再生の問題は、一見シンプルに見えても、背後には多くの要因が影響しています。ここでは、よくある疑問や誤解を明らかにし、正確な知識を身につけることの重要性をお伝えします。

フォーマットの変換を繰り返し行わない方が良い理由

繰り返しのフォーマット変換は、動画の品質低下を招くため避けるべきです。

ビデオの変換時に、コーデックがオリジナルのデータを解析し再エンコードします。これにより、情報の一部が失われ、特に多くの変換が繰り返されると、可視的な品質の低下や音声のずれなどの問題が発生します。

あるユーザーが、MOVファイルをMP4に変換し、その後WMVに、さらにAVIにと、何度も変換を繰り返した結果、動画の色が乱れたり、音声がオフセットされるという問題が発生しました。

最適なフォーマットを最初に選択し、不要な変換を避けることで、動画の品質を保持することができます。

同じフォーマット形式でも再生できない場合の原因

同じフォーマットでも、使用されているコーデックやその他の要因により再生できないことがあります。

フォーマットはコンテナを意味し、中には様々なコーデックでエンコードされたデータが格納されています。すべてのプレイヤーやデバイスがすべてのコーデックをサポートしているわけではないため、再生に問題が生じることがあります。

再生の不具合は、フォーマットだけでなく、使用されているコーデックにも起因するため、再生環境を考慮してファイルを選択することが重要です。

よくある質問とその答え

よくある質問と答え

動画に関する疑問や問題は多岐にわたるため、以下に一般的な質問とその答えを挙げます。動画編集や再生に関する技術的な背景や要因を理解することは、問題の解決や適切な選択を行う上で役立つため、よくある質問を確認していきましょう。

Q: MP4とMOVの違いは何ですか?
A: 両者ともにファイルフォーマット(コンテナ)であり、内部に格納されるコーデックやデータの形式に違いがあります。特定の用途や再生環境に応じて適切なものを選択することが重要です。

Q: 動画の再生速度が速すぎる、または遅すぎるのはなぜですか?
A: これはフレームレートの問題であり、編集時やエンコード時に適切なフレームレートを選択することが重要です。

効率的な動画の取り扱いには、基本的な知識が必要です。疑問や問題が生じた際には、プロの意見を求めることも一つの解決策となります。

動画の品質や再生性を維持するためには、適切な知識と注意が必要です。フォーマットやコーデックの選択、変換の回避など、基本的なガイドラインを守ることで、トラブルを回避することができます。

まとめとプロに相談するメリット

まとめ

動画制作における適切なフォーマットの選択は、最終的な動画の品質や配信効果に大きく影響します。しかし、その選択は専門知識を要するため、プロの意見やアドバイスは非常に価値があります。

用途に合ったフォーマット形式の動画制作の重要性

適切なフォーマット形式を選ぶことで、視聴体験を向上させ、効果的な動画配信を実現できます。用途に応じたフォーマット選択は、読み込み速度や画質、サイズの最適化を実現することができます。

ある調査によれば、動画の読み込み遅延が1秒増加するごとに、視聴者の離脱率が7%増加するとされています。(参考:ブログやホームページは、ページ表示速度が「1秒遅くなるにつき離脱率は7%上がる」って知ってた??

適切なフォーマットの選択は、ユーザーの視聴体験やビジネスの成果に直結する重要な要素となります。

プロに相談する利点

プロに相談することで、最適な動画制作やフォーマット選択のアドバイスを受けることができ、品質や効果の向上が期待できます。

プロは最新の技術動向や業界の標準を把握しており、それに基づいたアドバイスを提供できます。効果的な動画配信を実現するためのテクニカルな知識や経験を有しているのです。
プロの知識や経験を活用することで、効果的な動画制作・配信が可能となり、期待以上の成果を得ることができるでしょう。

適切な動画フォーマットの選択は視聴体験の向上に直結します。プロのアドバイスはその選択を更に最適化し、効果的な動画制作・配信をサポートしてくれるでしょう。

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